【これぞ"プラクティス"ミュート?!】トランペットの新型練習用ミュート「オクラミュート」のインプレ
コンサート自粛の世界的な動き
新型コロナウイルスの拡大にも伴い、世界中の音楽家がコンサートの自粛や自宅からのライブ配信を行っています。
たとえば、世界ランキング1位のブリティッシュ・ブラスバンドである「コーリーバンド」はこんな楽しい映像を配信してくれています。指揮者のフィリップ・ハーパーさんが半パンなのが笑えます。
先日もシンガーのJUJUがインスタグラムでお酒を飲みながら自宅で歌っていたりして、自粛中に普段見られない姿が見られるのは少し楽しい部分もあります。
とはいえ、いつも使っている練習場で目いっぱいトランペットを吹けないのは腕が落ちるはフラストレーションも溜まります。
今回は家で練習するときの強い味方「プラクティスミュート」について紹介したいと思います。
プラクティスミュートとは?
プラクティスミュートは、「サイレントミュート」や「サイレントブラス」とも呼ばれるトランペットやトロンボーンなどの金管楽器の音を小さくするための道具です。音が出るベルの部分に差し込んで音を小さくします。
今回は、新しく「オクラミュート(okura+mute)」というプラクティスミュートを手に入れました。詳しくみていきましょう。
「オクラミュート」とは?
オクラミュート(okura+mute)とは、トランペット奏者の奧田敏雄さんが開発したプラクティスミュートです。
トランペット以外にも、ホルンやトロンボーン専用モデルもあり、国内外の金管楽器奏者から高い評判を得ています。ベルリンフィルの団員が使っているシーンも見かけました。
プラクティスミュートは、ベルに詰め物をするという構造上、どうしても吹奏感が変化してしまいます。このオクラミュートは、不都合な吹奏感を排除して奏法を崩さないように設計された、いわば「練習補助ミュート」にできる製品です。詳しくみてみましょう。
オクラミュートの見た目と使い方
早速、画像付きでオクラミュートの詳細をみてみましょう。
およそ拳か玉ねぎくらいのサイズ感です。表面はザラザラ形状をしています。ベルと接する固定部分は、軟質のゴムが貼り付けられています。ほかのミュートは、スポンジやコルクでできているので、ここは大きな違いです。
ゴムの摩擦がすごく大きいため、楽器に差し込む際はねじ込んでしまうとむしろ取り付けが甘くなります。まっすぐ差し込み、取るときは傾けるようにしましょう。
ロゴはこんな感じで、金色の文字でオクラの絵が描かれています。雑貨っぽくてなかなかおしゃれではないでしょうか?!
底の部分はネジで留められているため、取り外すことができます。取り外せることで、洗って乾かせるので、衛生的でうれしいです。
練習時に抵抗が大きすぎると感じた場合は、底の部分についている軸を取り外すことで抵抗が弱まります。ブレスの力がまだ育っていない子供などの場合は、取り外したほうが良い場合があります。
シーミュートとオクラミュートの比較
プラクティスミュートの人気商品としては、ブレンナー「シーミュート(sshhmute)」があります。
「シー(sshh)」と書いているくらい、消音性能が高いミュートです。そして、ベル径の小さいソプラノコルネットやEb管のトランペットにも使えるため、一つ持っていると便利なプラクティスミュートです。
オクラミュートとシーミュートの形を比較すると、シーミュートのほうがかなり背が高いことがわかります。また、どちらもプラスチック製で、重量の差はほとんどありません。
トランペットへの取り付け状態は両者でこのように違います。ベルから飛び出ている量は同じくらいになります。つまり、背の高いシーミュートのほうがベルの奥まで差し込まれていることになります。おそらくこれが消音性能を高めているのでしょう。
実際に両者を吹き比べた感触の違いは、、、
【シーミュート】
〇:テレビを見ながら吹いても、テレビの音が聞き取れるくらい消音される。
△:抵抗感が大きいため、息が押し返される感が強い。低音に鳴りにくさを感じる。
【オクラミュート】
〇:抵抗感(違和感)が小さい。むしろ、低音を吹くときに息の流れをアシストしてくれる。
△:何もつけない状態からはかなり静かになるものの、消音性能はシーミュートよりも低い。
楽器が吹ける環境にもよりますが、多少音量が出ても問題ない環境であればオクラミュートのほうが吹奏感を崩さずに練習できると思います。特に、低音で息の流れを安定させてくれるのは、"サイレント"ミュートではなく、"プラクティス(練習)"ミュートとしてかなりポイントが高い!ミュートなしのときに正しく吹くための補助輪となってくれます。
一方で、ホテルの個室のような音を出すのが憚られる場所で指の練習をしないといけない場合などはシーミュートが適していると思います(短時間が良いかもしれません)。
最後に:オクラミュートの製造へのこだわり
オクラミュートの底部には「MADE IN JAPAN KUMAMOTO」と書かれています。ミュートは、海外で大量生産されているイメージでしたので、まず日本製であることに驚きました。さらには、この製品は障害のある方々が組み立て作業をして製造されているとのこと。
近年は、エコ推進やフェアトレードのような、ものができるまでのストーリーも消費者が商品を選ぶポイントになってきていると思います。製品の性能はもちろんのこと、そのストーリーにも共感できていいものを手に入れたな、と感じています。
トランペットをはじめとする金管楽器奏者のみなさま、ぜひ「オクラミュート」を体験してみてください。おすすめです!